(日野原先生 1911-)

長生きの法則(発見者:三浦敬三、日野原重明 、ひすいこうたろう 他)

長生きのためには、@運動をすること、A体重を20歳代に保つこと、B精神的に前向きであること、が肝要である

[解釈] 100歳前後のスーパー老年に、元気で長生きをする秘訣を尋ねた「NHKスペシャル 老化に挑む」(’04.9)より、印象に残った名言を掲げた。
@は、プロスキーヤー三浦敬一郎氏の岳父・敬三氏(100歳)、踊りの名取・板橋ミツさん(102歳)等の体験から生まれた名言。老化は、細胞近くにあるミトコンドリアが活性酸素を出し、それが細胞自体を破壊することから生じると言われる。日ごろの運動は(それが有酸素運動だろうと、筋力系の運動だろうと)その活性酸素に対抗する「抗酸素系物質」を生み出すことによって、老化を食い止める働きがあるとされる。
Aは、聖路加病院の名誉院長・日野原重明氏(93歳)が、自ら実践するカロリー制限による長寿法。日野原先生は、基礎代謝+運動用として一日のカロリー摂取量を1400キロカロリー未満に押さえ、20歳代の体重を維持している。これは経験的に20歳代が、活性酸素の出方が最も少ない時期だったからだという。なおアメリカには、「カロリー制限協会」なる組織が存在し、「私は1800キロカロリー」、「ぼくは2000キロカロリー」などと目標摂取カロリーを宣言して互いにダイエットを競い合ったりしているそうな。
Bは、視点を変えて長寿者の精神的側面を。長寿で元気の人に共通するのは、常に人生に対し前向きの姿勢である。三浦敬三氏は、転んで鎖骨を骨折しても日々のトレーニングを欠かさないし、板橋ミツさんは、自分より30歳若い先生について踊りの修行を重ねている。日野原先生は、執筆に講演にと多忙な日々をおくっても疲れを見せず、「新老人運動」を提唱して意気軒昂である。かくのごとく、老年になっても生きがいを探し、人生を楽しむ、という姿勢が老け込まない秘訣なのである。

[注
] アメリカで7000人以上を対象に9年間の追跡調査をした結果、寿命の長い人たちに唯一の共通点が発見された。その共通点とは、「友人の数の多さ」だったという。
社会的に成功するのに、「友人の数がポイント」という説があるが、実は「長生きの秘訣」でもあったのですネェ。

(本名・増原良彦 1936-)

「なん・まん・だぶ」の法則(発見者:ひろさちや)

世の中は‘なんでも有る’が故に、‘まんが一’の時も慌てず、‘ダブだぶル・スタンダード’の考え方で物事を受け入れるのが肝要である。

[解釈] 著者は、哲学者兼宗教学者。当法則は、或る年の正月の新聞に掲載された、ひろ氏自身の年頭所感、である。 言わば、‘起こり得ることは無限に有る’が故に‘ホドホドであれ’という教えであり、前掲の「数字の教える人生法則」に相通ずるものがあ る。先端の確率論的世界観が、いにしえの仏教的発想からも肯定されるのが興味深い。
 なお、真言宗派の僧侶・蓮生義隆氏(ひろ氏の本の解説者)によれば、般若心経の‘般若'は執着を離れた仏教的智恵を意味し、経文中の「色即 是空。空即是色。」が、この我執の無い智恵の極まった境地、を顕していると言う。即ち、我執を超えた‘ダブル・スタンダード’の勧め、である。

[注] この、ひろ氏の家に泥棒が入って多額の被害を受けた時、氏は少しも騒がず、このお金 は仏教を教えて得たお金であり、本来の無に戻っただけ、と言ったとか。まさに、御仏の教えの実践者の感有り。


( 中松氏の発明品!)

人関係方程式(発見者:世界の発明王こと中松義郎)

◎その1[上司に認められる方程式]

W=Fa/A

  • W=見かけの仕事量
  • F=実力
  • a=仕事の加速度
  • A=上司の色眼鏡

 これは、上司に仕事ぶりを認めさせる方法。「実力」だけでは充分ではなく、仕事に緩急をつけること、つまり「加速度」が大事。ただ し、上司のフィルターが曇っていると、そんな努力も徒労に終わる場合有り、ということである。

◎その2[可愛さ余って憎さ百倍の方程式]

W1/D1=W2/D2

  • W1=以前の親密度
  • D1=以前の距離
  • W2=現在の親密度
  • D2=現在の距離

 具体的数値を入れれば、分かりやすい。「以前の距離」を1、その頃の「親密度」を5とする。現在付き合いが途絶えてからの「距離」 が仮に5となれば、両者の「嫌悪度」は25倍にもなってしまう、という法則である。これを逆転させて、相手に自分を愛しくてしかたが ない、という気にさせるには、現在の距離を0にするのが最善手。つまりは、相手の懐に飛び込んでしまえ、という教えである。

[注] エジソンよりも発明件数が多い(上図「フロッピー」もその内の一つ)、と言われる著者の発明した「数式による」人間関係分析集。特に二つ目あたりは出色の出来。未だ社会 科学でも充分に解明出来ていない人間関係の機微を、比例・三角関数・写像等でピタリと解き明かす手際は鮮やかである。参院選出馬など 行いは奇矯だが、その思考方法はしごくオーソドックス(だと思いたい)。


人気の法則 (発見者:伊吹卓 他)

人気者になるためには、@俗であること、Aセクシイであること、B露出頻度が大であること、C嫌われないこと、が必要である。

[解釈] 現代の人気者達に見られる共通項は何か、を探った数冊の著書から代表的な法則を幾つか。

 @は、玄人受けする者は人気者になれない、の意。古今亭志ん生は「売れない時代の方が、噺はうまく、玄人筋に受けたねえ」 と述懐。また、一流デザイナーの褒めたデザインは売れない、というジンクスも有り、さらには、広告界には「消費者は十二才と思え」 という合い言葉まで有るそうな。言わば、大衆が理解可能であるためには“隙”が必要、ということ。このため、ワン・パターンで あることに照れるな、という戒めもあります。

(傑作CD「百恵白書」)

 Aは、人気は色気に比例する、ということ。例を掲げれば、かつての中学生トリオ(懐かしや、桜田淳子、山口百恵、森昌子の三人娘) のうち、百恵人気が他を圧したのは、結局は彼女の色っぽさによる、といった具合。そう言えば、コカ・コーラの人気の一端は、あのボト ルの形が男性のシンボルに似ているため、といった説も有りました。
 
 Bは、要は回数だ、ということ。そのための最良の手段は「テレビに出ることである」(大山勝美プロヂューサーの言)、というのが現代 人気者作りの基本。何が売れるか今や全く手探り状態の出版界で、確実に売れるのがタレント本である(戦後最大のベストセラーは 黒柳徹子の「窓際のトットちゃん」だとか)という些か淋しい現状は、この法則が真理であることを示している。因みに、当HPのアクセス数が 1年でようやく千件強なのに、宇多田ヒカルの新曲サイトへのアクセスは一日で100万件を突破したとか。比較するのもおこがましい が、これぞメデイアの底力、である。
 
 Cは、「人気」という得体の知れぬ気分を、何故好かれるか、ではなく、何故好かれないか、という視点から捉えなおした法則。つまり、 十人が好むものを探すより、十人が嫌わぬものに注目せよ、という逆説的な教えである。

 ただ、こうしてようやく手に入れた‘人気’のもう一つの特徴は、「人気は頓死するものだ」ということ。飽きっぽい大衆は常に、次のヒー ローを望んでいるのである。

[注]  ついでに「不人気な人・十箇条」を掲げて、ご参考に供したい。
 @嘘を言う人 A悪口を言う人 Bよくぼやく人 C偉そうにする人 D神経質な人 E陰気な人 F欲張りな人 Gものを言わない人  H気配りのない人 Iこだわる人
 確かにこれらが全て当てはまっている人物が近くにいたら、あまり楽しくなさそうである。


(惹かれあう二人)

似た者同士の法則(発見者:竹内久美子)

同じ戦略のために揃っている遺伝子のセットを崩さず次の世代に有効に伝えるため、似た者同士は惹かれ合う。

[解釈] 例えば『風と共に去りぬ』のスカーレットとレット・バトラー。ともに大胆不敵、行動的で気が強い二人 は、無意識のうちに強く惹かれ合う。これは動物行動学によれば、自らの戦略を残そうとする‘利己的遺伝子’の当然の行動。似た者同士の結合 により、さらに強力な戦略遺伝子を持った子供の誕生を画策するのである。(名付けて「アソータティブ・メイティング 似た者同士の交配」と言 う。)
 ちなみにイトコ同士というのも、近親交配の弊害の出にくい、最も近い血縁者ということから、やはり強い絆で結ばれ易い。その好例が 『風と共に去りぬ』のもう一つのカップル、メラニーとアシュレの組み合わせである。つまりこの大河ドラマは、典型的な二組の男女関係と 、その間に産まれる愛憎力学を描いた動物行動学のテキスト、なのである。(著者の紹介、およびその理論の更なる展開は、後掲「もてる男の法 則」を参照)



(1919-1989)

「認知的不協和」の法則 (発見者:L.フェスティンガー)

人間は、自己や自己を取り巻く環境に関する認知(考え、態度など)に矛盾や食い違い(=不協和)が生ずると、その不快な緊張状態を低減しようとして、@認知の一方を変化させたり、A新たな認知要素を加えたりする。

[解釈] 社会心理学の有名な基礎理論のひとつ。
 その典型例は、イソップ童話のキツネの話にある。ブドウを食べようとして、ブドウの房に届かなかったキツネは、「あれは酸っぱいブドウさ」とつじつまを合わせるが、これは、「おいしそう」という認知と「届かない」という行動が
不協和を起こし、そのため「おいしそう」という認知が「酸っぱいにちがいない」という認知に変更させられたのである。
 もうひとつの例が、喫煙行動。これは愛煙家の心の中で、「自らの喫煙の習慣」と「喫煙は有害である」という認知との間に不協和を生じる、というもの。この場合愛煙家は、@「有害を示すデータは信憑性が低い」と考える(これが@認知の一方の変化、の具体例)、A「喫煙にはストレス解消、という利点がある」と考える(これはA新たな認知要素の付加、の例)といった方法により、不協和を解消しようとする。もちろん、B決心して煙草をやめる(態度の変化)ということも考えられるが、これがなかなかできないから困るんですナ。
 で、話はこれからが本番で、スタンフォード大学のフェスティンガーカールスミスが行った実験(1959年)は、もっと手の込んだものであった。そこでは、退屈な実験に従事させられた被験者たちが、あとから来る被験者(これはサクラ)に「この実験は面白いよ」と言わされる。そして、そう言ってくれた報酬として、あるグループには1ドルを、そして別のグループには20ドルを渡すという提案をする。被験者たちが提案どおり、「この実験は面白いよ」とサクラに主張した後、フェスティンガーは被験者一人一人に「実験はどれぐらい面白かったか」と尋ねて、提供した金額の多寡が被験者たちにどのような影響を及ぼしたか、を
調べてみた。
 予想としては、金額の多い(20ドルの)被験者の方が「実験は面白かった」と自らを納得させていたのではないか、と思われたが、結果は反対。1ドルを提供された被験者の方が、自らを「不正直な人間でない」と考えたくて「この実験はやはり面白かったんだ」と自分を納得させていたのである。逆に20ドルをもらった被験者たちは、「これだけもらったのだから嘘をついても許される」として、「実験はツマラナカッタ」という考えを変えずにサクラに「実験は面白かったよ」と言えたのである。
 この実験結果を一般化すれば、「認知的不協和理論」は、次のように言い換えることができよう。
 「
自分自身の意見と矛盾した行動をとるとき、不協和が生ずるが、その行動が外的理由(上記実験では、20ドルの賄賂。その他、結果が悪くない、他に道が無いなど)によって正当化できるなら、意見のほうは変わらずに済ませられる。どうしても行動が正当化できない(1ドルの賄賂など)場合は、意見のほうがかわって行動に一致する(「実験は楽しかった!」)

[注]
 この理論が成り立つには、実は、人間には「自分には一貫性がある」 と思いたい、という非常に強い欲求がある、という前提がある。心理学ではこれを
「認知的一貫性理論」といい、いわば「認知的不協和理論」の上位理論である。



W.デメント(1928-)

「眠り」の法則 (発見者:W.デメント、T.バルキン他)

不眠は、交感神経を休ませられず、そのため高血圧、糖尿病、肥満をもたらし、深刻な場合は鬱病も発症させる。

[解釈] 人類の4人に1人は不眠に悩み、それが多くの生活習慣病(高血圧、糖尿病等)の原因にもなっている。また直接的には前頭葉皮質の働きを弱め、課題解決力、創造性を失わせる、とも言われる。
 これに悩まされたのが、イラク戦争時のアメリカ。炎熱の砂漠という劣悪な環境は、兵士から睡眠を奪い、多くの誤射、誤爆を産んだ。その反省から、今アメリカ陸軍では専門的な睡眠研究が盛ん。まさに「眠りは補給が必要な兵站」(陸軍の睡眠研究家T.バルキンの言)なのである。
以下、最近の睡眠に関する
トピックスをいくつか。
・眠気による事故で年間460億ドル(3兆5千億円程度)の損失がある。(スタンフォード大 W.デメント教授)
・110万人の追跡調査で死に至るリスクが最小だったのは「7時間睡眠グループ」だった。(カリフォルニア大 D.クリプケ教授)
長生きのためには、よく言われる「8時間睡眠」より1時間少ないのがベスト、ということか。
・照明が体内時計に影響して眠りも差配する。朝の日光や蛍光灯の電球色は、夜分メラトニンを分泌させ、自然な眠りを誘う。
・入浴は、皮膚からの放熱を促し、深部体温が下がって眠くなる効果がある(赤ちゃんの体が暖かくなるのも放熱の一種。身体が熱くなった、と思ったら、何時の間にか寝ているのはそのため)。

・昼寝は1時間半程度なら、体内時計に影響しない。つまり、この程度の昼寝なら、夜眠れなくなる、なんてことはない。
・日本人の平均睡眠時間は世界では短い方で、7時間50分。これはフランスにくらべ1時間短い。なお、我が国より短いのは(予想通り?)韓国デス。

 

[注]
 編者は家人から「アナタ、鼾が五月蠅(うるさ)イ!呼吸も時々停まっているわよ」と言われ、 渋々、内科を受診。結果は見事に、軽度の「無呼吸症候群(SAS)」と診断され、眠る時に大きなマスク(専門的には「シーパップ CPAP」と言います)をつけることになりました。 まぁ、これで高血圧や糖尿にならないなら鬱陶しいが我慢するか、と思っていましたが、夏はさすがに暑苦しい。結果として、歯科医に相談して作ったマウス・ピース(これも専門的には 「スリープ・スクリプト」と言います)を装着して眠っています。なお、このマウスピース、下顎を前に出すように出来ていて、嵌めた後に鏡を見ると、さながら
北京原人のごとし。ここまでして長生きしなくても、と思う今日この頃でありマス。
                 
                  (北京原人!)