80対20の法則(発見者:R.コッチ他) 投入の20%が産出の80%を生み出す。 [解釈] 経営コンサルタントとして成功している著者が、オックスフォード大学時代に発見した「不均衡の法 則」。彼は、当時の学生主事から‘本の価値の80%が、ページ数にしてわずか20%の中に見出される’ことを教えられる。この法則を援用し て、20%の知識で各学科の試験に80点以上の成績を収め、みごと最優秀で卒業したと言う。 こうしたことは我々の社会でも日常茶飯事。 20%の犯罪者が80%の犯罪を犯し、20%のドライバーが80%の交通事故を起こし、そして20%の人たちに資産総額の80が%集中しているので ある。決して50%の原因から50%の結果は生じない――即ち、自然は均衡を嫌う、のである。 [注] これを裏返せば、物事に100%を求めず80%程度の達成で満足せよということ。さすれ
ば、20%の効率的な努力の傾注で、そこそこの満足が得られるのである。そのためには、 自らを100%実現しようといったコダワリを捨てて、
他人の意見を20%程度は聞く耳を持つことも肝要となろう。 |
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悲観論逆説の法則(発見者:M.ガンサー) 幸運な男女は不運な人に比べて、人生では予測も予防もできないような出来事が、突然起こり得ることをはるかによく理解している。
[解釈] 悲観的な人間ほど、実は幸運をつかみ易い、という逆説的法則。即ち、常に最悪の事態を想定してお
けば、有事に最善の策を講じ得る、という納得の教えである。 |
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フォークナーの仕事の法則 (発見者:W.フォークナー) 人が八時間続けられるもの、それは仕事だ。
[解釈] 難解をもってなるノーベル賞作家フォークナーの、意外とユーモラスな一面を伺わせる言葉。その前段を
紹介すれば、「人は八時間食べていられないし、八時間セックスしつづけもできない。八時間続けられるもの、それは…」という次第。そして
「それ故に人はかくも不幸なのだ」と嘆じるのである。南部人(それはまた、全人類の象徴でもある)の意識の流れを描くのに骨身を削っ
たフォークナーの言と見れば、よりいっそう胸に響くものがある。
[注] その神学的作品群の、我が国での最も良き理解者は、(同じキリスト者の)小川国夫で あろう。特に、初期の傑作『響きと怒り』で兄クエンティンが妹キャンダシーとの近親相姦幻想に悩み、ついにボストンのチャールズ川に 身を投げる場面の解釈が、出色である。地元アメリカの論者ですら「滅びゆく南部の象徴」・「禁断の愛からの逃亡」といった解釈に停ま っているのに対し(それも確かにあるが)、小川は、兄を愛したキャディーが、その兄が最も欲したこと、すなわち「死」に向かって彼を 導いたのだ、と指摘する。その放蕩・結婚・出産などの全てが、兄を死に追いやることを、彼女は無意識の内に悟っていたと言うのである。 そしてこの視点によって初めて、次の二人の会話が深い意味を帯びることになる。 キャディ そして、すいかずらがしきりと降り注ぐ中、「宿命の妹」は川に向かって愛する兄の背中を押すのである。 |
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フイネイグルの法則 (発見者:W.フイネイグル) 実験で狂う可能性のあるものは必ず狂う。
[解釈] 後掲「マーフイーの法則」の科学者版。なお、これに科学者の傲り が加わると、次のような信条が生まれる。
「科学は真理である――事実に惑わされてはならない」 これすなわち、‘事実’関係を無視して、自らの発見した法則こそ
‘真理’と主張する科学者をからかったもの。
そしてこうしたS F作家と成功法則の究極の合体(?)が、L.R.ハバードの「ダイアネ テイックス理論」である。この理論を簡単に言うと「全ての精神的障害は、無意識のうちに(特に母親の胎内にいる間に)味わった トラウマ(ハバードはそれを‘エングラム’と名付ける)によって引き起こされる。従って、そのエングラムをダイアネッテイックス療法 によって消し去れば、人の能力は最大限発揮される」というもの。これこそ眉唾、という感じだが、実はこのダイアネテイックス関連の著 作は、世界中で1600万部も売れ、17の文学賞も受賞しているのである。そして俳優のJ.トラボルタやT.クルーズもその信奉者で、 ハバード原作の「バトルフイールド・アース」がトラボルタによって制作・主演されたのも、そうした背景があるためだとか。さらに彼 の治療を受けた最初の患者の一人が、副鼻腔炎に悩むJ.W.キャンベルであったとなると、この理論、そう簡単にトンデモ科学とも言い切れない のであった。 |
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福永武彦の「愛の逆説」の法則 (発見者:福永武彦) 人は、憂いを帯びた麗人より快活な少女を愛する。 [解釈] 作家・
福永武彦には“病弱なる孤高の文学者”といったイメージが先行するが、実は交友関係も多彩
(級友中村真一郎、療養所仲間結城晶治、定型詩運動グループ加藤周一等)で、先輩方(堀辰雄、高村光太郎等)
にもけっこう可愛がられた形跡がある。つまり一般の社会人、いやそれ以上に人付き合いの良い常識人ではなかったか、と思われる。そう考えた時、世評高い中篇『廃市』の“甘美などんでん返し”にも納得がいく。そのどんでん返しとは――
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「憤怒」の法則 (発見者:L.サンダース) 人は一つの裏切りには耐えられるかも知れぬ。だが二重の裏切りには怒りの鉄槌を下す。 [解釈] 老練なるミステリー作家ローレンス・サンダースが、大罪シリーズの掉尾を飾る佳作『憤怒の殺 人』で述べた‘殺人に至る憤怒’についての分析、である。‘神々しいほど美しい’臨床心理士の妻は、優しく温和な医師の夫をハン マー(!)で撲殺する。この理想的な美男美女カップルに、一体何が起きたのか? この男女間の深い謎を、大罪シリーズの探偵役・デイレイ ニー署長は、次のように読み解いてみせる。 「(夫は妻に)美貌など皮一枚だけのものだと言いつづけた。妻はそれを受け入れ、職業人として成功した。ところが、ふと気がついて みると、夫は別の女に眼を奪われていた。夫は浮気しただけじゃない。自分が言ったことを自分で全て否定したんだ!」 容貌は生まれついての幸運で大事なのは頭を使うことだ、と諭され、その通りに努力した妻は、その美貌だけでなく自らの努力全て
を、諭した本人から否定されてしまう。この二重の裏切りを知った妻は、凶暴な怒りにかられ、ついには‘私より美しいものを見るこ
とはできない’ようにと、夫の目をハンマーで叩き潰すのである。 「(美人で金持ちの妻を持った)夫は、しばらくしたら、うんざりしてくる。自分を全能の神のように思ってくれる平凡な女の方が、 むしろ好ましく思えてくる」 言われてみれば納得、の浮気心。かくて夫は、なんの才能もない平凡な女に奔り、それがまたプライドある妻の怒りを増幅させることに なるのである。 [注] ローレンス・サンダースは、50歳の時『盗聴』でデビュー、という遅咲きの新人。 だが、大罪シリーズでブレイクし、その後、年一作のペースで大作を発表し続けるブロック・バスター作家、となった。その長編作法は「毎 日一枚ずつ書くと一年で365ページの小説ができあがる」というもの。なにやら、当ホーム・ページ冒頭に紹介した 野上弥生子の覚悟、に相通ずるものがある。 |
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「ボケ防止」の法則 (発見者:都老人研究所 他) 「ボケ防止」のためには、@脳の3機能(計画力、エピソード記憶、注意分割力)を鍛錬する、 A鍛錬の目標を少しだけ高めに設定する、B軽い運動の習慣をつける、C血流を良くする食事(魚、野菜、果物)を摂る、Dよく眠る、ことを心がけねばならない。 [解釈] 老齢化が急速に進む我が国の喫緊の課題の一つが、「老人の痴呆問題」である。イラストに掲げた山口瞳氏の絵姿も、自ら、父の老耄振りに苦労した果ての「健康な隠居志願」と見れば、身につまされるものがあろう。 |
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フリードマンの「使命」の法則 (発見者:B.J.フリードマン) 死にゆく者には、全てを与えよ。
[解釈] B.J.フリードマン(Bruce Jay Friedman )は、アメリカのユダヤ系小説家、戯曲家、そして俳優でもある。 [注] フリードマンは、戯曲家でもあったことからハリウッドと縁が深く、ウディ・アレンと仕事をしたり、『スプラッシュ』の脚本も書いたりしている。驚くことに俳優にも挑戦し、T.ハンクス、M.ライアン主演のラブコメ『ユー・ガット・メール』にもチョイ役(役名はVince Mancini)で出たりしている。我が国の誇るスプラッタ・コメディの大家・筒井康隆にも似たような性癖があるが、洋の東西を問わず、天才的ユーモア作家には「俳優が天職」といった思い込みがあるのであろうか?
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星野博美の「人生喪失」の法則 (発見者:星野博美) 生きることは失うことと同義である。
[解釈] 大宅壮一ノンフイクション賞を受賞したエッセイ『転がる香港に苔は生えない』の著者・星野博美氏の潔い覚悟。 [注] 星野氏はもともと、アシスタントから出発したフリーの写真家。生の一瞬を切り取ることが職業の人間の眼には、その定着した一瞬の儚さが見えてしまうのであろうか。
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